伝聞法則で差をつける-刑訴法の学習法

 

んにちは!かわしょー吉です。

 

今回は

刑事訴訟法

の学習法についてのお話です。

 

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刑事訴訟法の勉強は

刑法と同様に

 

多くの受験生としては

割ととっつきやすい,イメージしやすい

という感覚があると思います。

 

捜査法分野は,大枠をつかめば

答案の型を作ることも比較的容易です。

 

ただ,細かい手続となると

途端に面倒くさくなりますよね(笑)

 

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逮捕ないし勾留の手続は

細かい条文操作があったり

規則を参照する必要があったり

少し面倒な印象はあります。

 

証拠法分野は,

特に苦手な人も多いのではないでしょうか?

伝聞とか,伝聞とか伝聞とか(笑)

 

違法収集証拠排除法則

苦手意識を持つ人が多く見受けられます。

 

刑訴法の条文操作が苦手!

 

証拠法で要証事実や証拠の概念

が整理できない

 

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などなど,刑訴法の勉強にお悩みがある

 

そんなあなた

刑事訴訟法の学習のポイントを

3つの分野に分けてお教えします。

 

ここで,前提として

刑訴法全体の学習方針としては

とにかく判例学習を重点的に

することです。

 

刑訴法は

とにかく実務が大事なので。

 

さて,3つの分野ごとの学習のポイントです。

 

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①捜査法ー判例学習と手続の条文読み学習

 

捜査分野は

まさしく判例学習が重要ポイントです。

 

強制捜査と任意捜査

職質と所持品検査

etc...

 

よく出てくる

必要性・(緊急性)・相当性

の判断枠組みは

 

事案類型ごとに

微妙に規範の文言が違ったり

 

考慮要素を変容させています。

 

そのため,このような差異の有無

その理由を整理しておく

ことが重要です。

 

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また身体拘束に関する問題は

議論のフィールドが細かく分かれています。

 

例えば

 

重複逮捕・勾留

再逮捕・勾留

別件逮捕・勾留

 

あなたは

これらの議論のフィールドの差異を

正確に説明できますか?

 

三者ともに

問題となる場面は全く違います。

 

ちなみに

重複逮捕・勾留と再逮捕・勾留の問題

私が整理したノートの一部です↓

 

①    一罪一勾留の原則が適用されるかどうか?

そもそも同時処理が不可能(あるいは釈放後の事情変化に基づくもの)である。

→一罪一勾留の原則を適用すべきでない場面。

∵当該先行逮捕勾留手続という1個の手続で、捜査手続を完遂することが不可能。

*他方、適用される場合は、原則として先行する逮捕・勾留を前提として再度あるいは重複して逮捕・勾留することは不可。

②    例外的に認められ得るか?

 

再逮捕・再勾留の問題

重複逮捕・勾留の問題

議論になる場面

(区別のポイント:捜査中の逮捕・勾留との関係での適法性→起訴前の逮捕・勾留との関係をみる)

起訴前の逮捕勾留の段階で、期間満了で終了あるいは釈放されたのち、再度同一犯罪の被疑事実について逮捕・勾留がなされた場合

ある犯罪の被疑事実についての逮捕・勾留中に、別個の社会的事実について犯罪被疑事実として評価され、これにつき逮捕・勾留がなされた場合

起訴後の勾留中に新たに判明した実体法上一罪の関係にある被疑事実で逮捕勾留する場合

→再勾留の場合と同じ基準で判断すべき(川出・94頁)

規範

ⅰ身体拘束の不当な蒸し返しにあたらないこと

ⅱ新たな勾留の必要性と被疑者の被る不利益の比較衡量

ⅰ同時処理の現実的可能性の有無

※の場合は、再逮捕・再勾留の場合の規範を利用する。

考慮要素

先行の勾留期間の長短、その期間中の捜査経過、身柄釈放後の事情変更の内容、事案の軽重、検察官の意図その他諸般の事情

当該被疑事実が発生したタイミング、それが判明した時点、発生から判明までの期間の長短

 

*川出『判例講座 刑事訴訟法(捜査・証拠編)』94頁~95頁参照

 

このように

自分なりに整理してみると

論述の正確性が向上します!

 

あとは

令状捜査のところは,

条文操作がおろそかになりがちです。

 

刑訴法222条の準用規定など

何が準用され,あるいはされていない

などを条文を素読する勉強も大切です。

 

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②公訴・公判ー刑法的視点で

 

公訴・公判のところは

とにかく手続規定です。

 

図解されているテキストを読みながら

条文を素読しつつ

流れを整理していく勉強が効果的です。

 

そして

この分野で特に大切なのが

訴因・公訴事実概念の正確な理解

構成要件の理解との連動

です。

 

訴因変更制度に関する問題で

必要な思考です。

 

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③証拠法ー証拠類型と要証事実概念の理解

 

さて,鬼門の証拠法です。

 

一般論でもありますが

いかに難しい問題も

基礎知識が出発点です。

 

基礎知識がなければ

応用的思考は生まれません。

 

とにかく基本概念の理解から入ることが重要です。

 

 

ご参考までに

私のノートの抜粋をお見せします。

 

Ⅲ証拠としての適格性に関するもの

  • 証拠能力:証拠が適式な証拠調べを経ており、関連性があり、証拠禁止に当たらないため証拠としての適格を有すること(事実認定の資料として用いることができる証拠の法的適格)
  • 自然的関連性:証明しようとする事実に対する必要最小限度の証明力がある(可能性がある)こと
  • 法律的関連性:偏見等からその証拠の証明力(事実認定)に誤判を与えるような類型的危険が無いこと
  • 証拠禁止:法の定める証拠禁止あるいは政策的に証拠能力が否定される場合

Ⅳ証拠の証明対象Or機能に関するもの

  • 直接証拠:要証事実を直接に証明するのに用いられる証拠
  • 間接証拠(情況証拠):要証事実の存否を推認させる証拠
  • 実質証拠:要証事実の存否の証明に用いる証拠
  • 補助証拠:実質証拠の証明力や証拠能力等に関する証拠
  • 弾劾証拠:実質証拠の証明力の減殺に役立つ証拠

 

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また,伝聞法則の問題については

ざっくり分けて2つのフィールドがあります。

 

第一に,伝聞該当性の問題。

第二に,伝聞例外該当性の問題。

 

今回は伝聞該当性の問題についてだけ

詳述します。

 

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http://web.ydu.edu.tw/~uchiyama/conv/kaiwa4.html

より

 

*一般的な伝聞の意味と,

刑訴法の「伝聞法則」における伝聞

とは意味が全く異なるのでご注意を。

後者の方がより狭い意味で使います。

 

勉強されている方なら

お分かりになると思います。

 

 

さて,伝聞証拠の理解について

 

これは,ズバリ言うと

要証事実概念の理解

非伝聞になる場合を理解しておくこと

です。

 

要証事実の捉え方

次の通りです。

☆要証事実の認定の仕方(古江『事例演習刑事訴訟法』335頁より)

①    立証趣旨が問題文にある場合は、検察OR被告人側の提示した証拠について、その提示された「立証趣旨Aを前提にして、当該訴訟における争点との関係で、当該立証趣旨Aの事実を立証することに意味があるかどうかを検討」する。

②    意味がない場合は、当該証拠の内容、性質から客観的に見て別の事実Bの証拠として用いることに意味があると認められる場合は、その事実Bを要証事実と認定する(新司法試験平成21年出題趣旨も同旨)。

※仮に問題文に立証趣旨が書かれていない場合は、②を検討。

 

非伝聞になる場合

の整理は,次の通りです。

 

Ⅰ供述の存在自体が要証事実となる例

  • 供述がなされたこと自体が犯罪事実を構成する場合→名誉棄損罪・侮辱罪
  • 同一人の不一致供述ないし自己矛盾的内容の供述によって証言の信用性を弾劾する場合→弾劾証拠(328条)と関連
  • 行為に随伴する場合に、当該行為の社会的意味を明らかにする場合

Ⅱ内容とは関わりない情況証拠として用いる場合の例

  • ある供述を知覚した第三者の心理・感情・精神状態を推論する場合
  • ある供述がなされたことから、供述者間の人間関係を推論する場合
  • ある供述がなされたことから、その供述内容の真偽とは関わりのない供述者の精神状態を推論する場合
  • 客観的事実と当該供述が一致することから、供述者が当該事実を知っていたことを推論する場合
  • 言語の行為的意味の推論
  • 当該供述の内容から客観的に行為者の認識内容について推認する場合

(大澤『伝聞証拠の意義』刑訴の争点第3版183頁)

 

そして,それぞれについて

典型例を整理しておくことです。

*私のノートの内容は,ここでは割愛します。

 

いかがでしたか?

ぜひ,あなたの理解を補充するべく

 

この内容を必要に応じて

今あなたのノートにも整理

しておいてください。

 

 

次回は

行政法の学習法

についてお話します。