会社法の難解さをひもとくヒントー商事系科目の学習法

 

んにちは!かわしょー吉です。

 

今回は商事系科目のうち

会社法

の学習法についてのお話です。

 

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会社法も,民法と同様に

とにかく条文数が多い法律です。

(979条まで)

 

その上

条文構造を掴みにくい

という厄介な性質があります。

(M&Aのとことか)

 

しかも

 

民法とは異なり,

組織法の側面もあるため

機関設計や手続規律が絡む

という特質があります。

 

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http://photozou.jp/photo/show/249838/22569671

より

 

したがって,民法のように

権利義務関係の規律だけでなく

これを前提として

 

手続や機関構造等を

有機的に関連付けて整理する

 

ことが重要なポイントになります。

 

 

さて

会社法の勉強について

 

方向性がよくわからない

 

いまいちコツをつかめない

 

そんなあなた

1つ意識すべき学習のポイント

少しユニークな勉強法

お教えします。

 

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これを知ることができれば

 

イメージが掴みにくい

とっつきにくい

 

そんな会社法に対する認識が

180度変わります!!

 

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まず学習のポイント

についてです。

 

無論,

条文や判例をしっかり意識すべき

という点は他の科目と同様です。

 

 

加えて

条文構造の正確な理解と操作

を徹底してください。

 

多くの人が苦手意識をもっている分

これを1つ1つ

しっかり整理しておく学習は

大変有益に思われます。

 

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具体的な方法論・意識としては

かっこ書きと準用規定

までもれなく学習してください。

 

ちょっぴり面倒ですが

これを怠らずにやることで

 

飛び飛びの条文操作を

正確に理解する

 

ことにもつながります。

 

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次にちょっとユニークな勉強法

についてです

 

会社法

とくに

企業経営実務に寄り添った運用

がなされています。

 

法改正や最新判例が出てきやすいのも

その点が大きく絡んでいます。

 

そのため

遊び心で実務にふれてみる

というのも有益です。

 

例えば

計算に関する規律の類は

 

簿記や会計の薄い入門書的なものを

読んでみる

ということは有益です。

 

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↑こういう感じのやつがオススメです。

 

実際に司法試験の問題でも

簡易の貸借対照表を参照させる問題も

出題されています。

平成27年度司法試験民事系第2問)

 

初歩的な知識で十分なので

こういう勉強をして

会計の知識を知っているだけでも

一歩有利といえます。

 

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今,ちょっくら気分転換に

会計の本でも読んでみてはいかがでしょうか?

 

 

次回は

民事訴訟法の学習法

についてお話します。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

刑法は自分の型を作ったもん勝ち!-刑法の学習法

 

こんにちは!かわしょー吉です。

 

今回は

刑法

の学習法についてです。

 

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↑中国の古い時代の刑罰らしいです。(笑)

https://gigazine.net/news/20080121_china_punish/

より

 

 

刑法は

普段からニュースで見る刑事事件など

 

一番とっつきやすい科目

ではないでしょうか?

 

 

刑法を得意とする人は

比較的多い印象を受けます。

私の経験則にすぎませんが。

 

 

一方で

刑法でうまく答案を書けない

 

特に時間配分をミスりがち

 

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インプットは割とうまくいくけど

実際にアウトプットするときに

苦手意識

がある。

 

そんなあなた

今回は刑法の学習法について

 

アウトプットを念頭に置いた

学習法

をお教えします!!

 

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ポイントを4つお教えします。

 

①答案の型の確立

 

刑法は,

行為の特定→構成要件該当性→違法性→責任

という検討手順が予め与えられています。

 

これをかっちり,型として押えることが

刑法の理解の基礎の基礎です。

 

そして,

議論のフィールドを正確に

区分できるよう知識をインプット

することが大事です。

 

これだけで

刑法の勉強は半分完了

です。

 

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②総論は共犯の理解を重視

 

司法試験の刑法は

共犯を理解していないと

土俵に立てないといってもいいでしょう。

 

一般に

事案分析の段階で一番厄介なのが

共犯関係ですよね。

 

勉強の際には

共犯関係の検討手順を

ある程度確立しておく必要

があります。

 

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もっとも

共犯のところだけやればいい

というわけではありません。

 

因果関係論、錯誤論

正当防衛など

 

体系的に重要なポイントは

しっかり押さえる

必要があります。

 

③各論は三段論法を徹底!

 

各論に関する知識は,

とにかく構成要件の正確な暗記

という勉強につきます。

 

各論に関しては

暗記が強い人がより有利

だと思われます。

 

そして

三段論法の階層構造の視点で

きっちり作法を守れば

 

面白いように点はついてきます。

 

④たかが罪数,されど罪数

 

罪数は,必ず刑法の答案の最後に書く

締めくくりです。

 

体操でいえば

フィニッシュの着地です。

 

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刑法の論文試験では

とにかく各枚数と時間の制約との戦い

につきますが

 

罪数が

けっこうおざなりになりがちですよね。

 

しかし,刑法の理論としては

罪数にも議論がたくさんあるので

 

丁寧に整理しておく必要があります。

 

この4つのポイントを押さえておけば

効率的なアウトプットのための

最低限の準備が可能になります!

 

いかがでしたか?

今この4つのポイントを

ぜひメモしておいてください

 

なお,こちらもぜひ!!↓↓↓

 

kawashokichi.hatenadiary.jp

 

 

次回は

会社法の学習法

についてお話します。

 

 

 

 

 

要件事実論に拘泥せずに学べ!-民法の学習法

 

んにちは!かわしょー吉です。

 

今回は

民法

の勉強法についてのお話です。

 

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民法って

1044条まで

条文がありますよね。

 

初学者の人は。

もうその時点でうろたえる

 

なんていう人も多いですよね。

 

また

民法の答案構造には

様々バリエーションがあって

 

応用に試行錯誤する

 

なんていうお悩みもあるでしょう。

 

そのため,

民法はニガテだ!!

 

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となってしまったりします。

 

 

それに追い打ちをかけるように

要件事実論

なるものが立ちはだかります。

 

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もう泣きたくなりますね(笑)

 

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民法

もう泣きたくなるほど

苦手だ!

 

というあなた

その苦手を克服するための

学習法をお教えします

 

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あなたが

これを知らなければ

 

あなたの民法のニガテは

ニガテのままです。

 

膨大な条文と

要件事実論という壁にも

苛まれ続けます

 

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そのヒントには

3つのポイント

があります。

 

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  1. 条文の構造を意識した実体法の勉強
  2. 全体像の把握と体系化
  3. 繰り返しの勉強

です!

 

1の「条文の構造」は

・1つの条文の中の構造

・1つのカテゴリーごとの

複数の条文との構造

 

という2つの視点があります。

 

2と3は

密接に関連しますが

 

分からなくてもいいから

とにかく全体を見通すこと

 

基本書なりテキストを

何度も何度も通読することです。

 

一度理解できなかった箇所には

 

・マーカーなどを引いて明示しておく

・何が分からないのかを

自分の言葉でメモしておく

という作業を徹底してください。

 

理解できたならば

・自分の言葉で論理化する

という作業を徹底してください。

 

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これを実践すれば

知らず知らずに

民法の世界の面白さ

気付くことになるでしょう。

 

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その面白さに気づく時

あなたは

既に民法が得意になっています

 

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ちなみに

要件事実論の勉強は

 

民法の勉強が

苦手なあなたであれば

 

典型的なものさえ押さえておけば

足ります。

 

詳しく勉強したい!

というあなたは

 

この民法の面白さに気づいたときに

追求してみて下さい。

 

いかがでしたか?

今日の勉強から

ぜひ取り入れてみて下さい!!

 

次回は

刑法の学習法

についてお話します。

 

 

 

 

 

憲法の学習は判例百選では足りないって本当??

 

んにちは!かわしょー吉です。

 

今回からは

各科目ごとに学習の基本的なポイントを

押えていきます。

 

初回は

憲法です。

 

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憲法の学習では,条文はもとより,

判例が大事だ!!

って耳にタコができるほど言われますよね。

 

 

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とはいえ,判例なんてどの科目でも大事だろ!

 

というツッコミは正当です(笑)

 

ただ,勉強の仕方として

ほかの科目の場合と全く同列に考えてしまうのは

それもまた,適切とは言えません

 

 

私たちの使用する判例学習の基本テキストといえば

いわゆる判例百選ですよね。

 

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まぁ,憲法

判例百選さえしっかり勉強しておけば

無難だろう

 

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なんていう方も多いのではないでしょうか?

 

しかし

特に憲法が苦手だというあなたであれば

これでは勉強のリソースが足りません

 

今すぐ

その考え方を棄てて下さい。

 

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そして

そんなあなたに

実践して欲しい学習法があります。

 

あなたがこれを知らなければ

今の司法試験の憲法の問題に対して

まず太刀打ちできません

 

憲法の苦手をひきずったまま

司法試験当日を迎えることになります。

 

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しかし

もしあなたがこの学習法を実践すれば

 

主張反論型の憲法答案の型を

確立することができます

 

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判例を使いこなすための

思考ツールを手に入れることができます。

 

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ひいては

短答式試験でも

高得点を望めるでしょう。

 

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その学習法とは

判決文(原文)を読むことです。

 

確かに

判決文のうち,その重要箇所を抜粋された部分である

判旨であれば,判例百選でも勉強できます。

 

では,なぜこれでは足りないのか?

 

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そもそも,憲法って

条文に書いてあることがあまりにも少ないですよね。

 

憲法第3章の人権規定は

”権利のカタログ”といわれるように

単に権利が列挙されているにすぎないのです。

 

特に

どのような場合に権利の制限が正当化されるのか

ということについて

各条文に個別に示されているわけではありません。

 

その判断枠組みは

古くから理論構築された判例及び学説の

積み重ねにおいて形成されたものです。

 

そして

司法試験は実務家登用試験ですから

まずは判例が構築した理論を

深く理解する必要があります。

 

憲法判例

特に条文の解釈と理由づけでは足りない

空文の領域について

 

言葉を慎重に1つ1つ選び

精巧な論理により構築されています。

 

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また,大法廷判例の多くは

最高裁の名だたる判事の方々が書かれた

個別意見が付されています。

 

この個別意見の中にも

法定意見の論理をさらに説明するものであったり

裏側にある視点が示されている

ことがあります。

 

その論理の1つ1つを負うことで

初めてその判決を理解する糸口をつかめるのです。

 

しかし

判例百選ではかなり紙の制約がある中で

判旨が抜粋されているため

 

そこには

どうしても論理の空白

生じざるを得ません。

 

したがって

判例百選を読むだけでは

判例の深いところを理解するには

限界があります

 

だからこそ

判例原文を参照する必要があります。

 

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そして原文を読む際は,

長くて面倒くさいかもしれませんが

 

事案の整理

1つ1つの議論のフィールド

 

を必ず押さえることを意識してください。

 

そして,個別意見も

チェックすべき意見は少なくありませんが

 

特に

伊藤正巳裁判官

の個別意見は必読です!!

 

 

いかかでしたか?

 

ちなみに

判例原文の入手方法ですが

 

学生であれば,大学のデータベース等の

LLI,LEX/DB等を利用して

入手できます。

 

また,データベースという

手段がない・使えない場合には

こちらの判例テキストをお勧めします!

 

憲法判例

 https://www.amazon.co.jp/憲法判例-第7版-戸松-秀典/dp/4641131635

 

判例ラクティス憲法

 https://www.amazon.co.jp/判例ラクティス憲法%E3%80%94増補版%E3%80%95-判例ラクティスシリーズ-淺野-博宣/dp/4797226366

 

 次回は

民法の学習方法

についてお話します。

 

「トンボの眼」思考で一歩先のあてはめ力を身に着ける

 

んにちは!かわしょー吉です。

 

今回は,前回,前々回と引き続きの

あてはめのコツ

に関するお話の最終回です!!

 

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突然,インパクトのある画像を出してすみません(笑)

あなたはこれが何だかわかりますか?

 

 

 

そう!トンボです。

タイトルの通り,トンボの眼ですね。

 

小学校理科の授業では,

よくお目にかかりましたね。

 

 

このトンボの眼の構造は

いわゆる複眼と呼ばれるものです。

 

今日のお話のテーマです!!

 

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論文の問題を解くときには,

この複眼的思考が不可欠なんです!!

 

あなたは

答練でこんな指摘をされたことはありませんか?

 

「○○という事実は,

・・・ということを導く理由づけというより,

むしろ~~という法的評価を導く理由づけにもなりませんか?」

 

もう少しネガティブな評価だと

事案の全体像,ないしあなたの論理の運びからすると

~~という法的評価になるのが自然ではありませんか?」

 

 

もし,今ハッとした

そんなあなたは

この複眼的思考にやや欠けています

 

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いやいや

複眼的思考って,なにそれ??

 

もし,あなたがこの複眼的思考を知らなければ

 

あてはめの型を使いこなすことができても

答案全体の論理の質を低下

させてしまいます。

 

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事案に対するあてはめは一応できたとしても

「適切な」あてはめの型を

手に入れることができません

 

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そんなあなたにお教えします!

 

あてはめにおける複眼的思考とは

次の5つの眼を持つことです。

 

👁単なる事実認定の要素なのか,法的評価根拠事実なのか

👁1つの事実にプラスの側面とマイナスの側面が併存しないか

👁規範要素との整合性

👁他の事実要素との関連性

👁想定される主張反論(特に総合判断型判断枠組みの場合) 

 

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この5つの眼で事案を分析し

答案を書いてみて下さい!!

 

この5つの視点を置くことにより

あてはめが単なる事実の羅列や

勘繰りだけに頼る表面的なあてはめではなく

 

事実と規範がかみ合い

精巧なあてはめをすることができます!

 

3点~5点の違いを生み出すことにもなります

 

これは,私の受けている答練での経験に基づくものです。

 

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ぜひ

答練等で実践してみて下さい!!

 

次回からは

各論的に

各科目ごとの学習のポイント

についてお話していきます。

 

 

 

 

法論理とのつながりと緻密さを実現するあてはめの奥義とは??その2

 

んにちは!かわしょー吉です。

 

今回も,前回に引き続き

あてはめのコツ

に関するお話です。

 

まずは

前回出題した簡易事例について

解説します。

 

XがVを

ナイフ(刃渡り20センチメートル)で,

腹部と胸部をそれぞれ1回ずつ,

馬乗りになりながら,腕を頭の上から振り下ろして刺した。

  

 

このXの行為につき

殺人罪(刑法199条)の構成要件のうち

実行行為性を検討する

というものでしたね。

 

前提として,

三段論法をしっかり意識しましょう。

 

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実行行為は,

法益侵害の現実的危険を有する行為」

として定式化されます。

 

また,殺人罪

人の生命を保護法益とする具体的危険犯なので

 

殺人罪の実行行為とは

「人の生命侵害を惹起する

具体的かつ現実的危険を有する行為」

と解されます。

 

ゆえに

 

Ⅰ「人の生命侵害を惹起する

具体的かつ現実的危険を有する行為」

→殺人の実行行為

 

*これは,厳密には→というよりも

=という論理関係です。

 

ⅡXの行為→

「人の生命侵害を惹起する

具体的かつ現実的危険を有する行為」

 

したがって

ⅢXの行為→殺人の実行行為

 

 

ひとまずは,

規範定立の三段論法の出来上がりです。

 

 

 

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先に進みましょう!!

 

次にあてはめです。

 

まずは,行為を抽象化して分析します。

その際に,行為の核となる要素を抽出します。

 

そうすると,

Xが,Vを,ナイフで刺した

ということですね。

 

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こんな感じですね。

 

その上で

事実要素から3つの連想をしていきます。

 

その際の思考フレームが

抽象的類型的→具体的個別的

でしたね。

 

そして,着目すべき基本3ポイントは

内容,性質,程度(量)です。

 

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これに従うと,次の事実要素

着目することができます。

 

ナイフ刃渡り20センチメートル)で,

腹部と胸部それぞれ1回ずつ,

馬乗りになりながら,腕を頭の上から振り下ろして刺した

 

え!?!?

ほぼ接続詞だけ抜いただけじゃん(笑)

 

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私には,あなたの心の中のそんなツッコミが

聞こえてきます(笑)

 

しかし

あてはめで差が付く問題では

使える事実は余すことなく使い切る

 

というのが鉄則です。

 

さて

よくありがちな例として,

中位・下位答案例を見ていると

 

「ナイフ」→「凶器」という連想をしたり

「20センチメートル」→「長い」など

 

より抽象化してしまう

ものが散見されます。

 

これらは,形容表現ですから

事実に対する評価が

ないとはいえませんが

 

なぜ,上位答案例と比べて劣位なのか

私なりにその理由を考えてみました。

 

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それは

法的評価としての質が

イマイチなのではないでしょうか。

 

何がイマイチかといえば

こう考えてみて下さい。

 

ナイフが「凶器」であることは,間違いありません。

観念的には,ナイフには人の生命を奪う危険を伴う

ということがわかります。

 

 

しかし,単に「凶器」であるという評価から,

Vの生命侵害にどのような内容の危険があるのか

その具体性に欠けています。

 

 

私の思考フレームからすれば

上記事実要素は,このように連想できます。

 

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「ナイフ」→「切るためのもの」→「身体への裂傷を与える

 

「刃渡り20センチメートル」→

「平均的な成人の身体の厚さくらい」→「体内の損傷を与えうる長さ

 

「腹部と胸部」→「消化器官や肺,心臓がある」

→「重要な人体の部分」→「損傷には生命の危険

 

「馬乗り」で「腕を頭の上から振り下ろす」→「上下の物理力」

→「人の体表を優に突き抜けて奥まで突き刺さる可能性大

 

 

これを規範にあてはめようとすれば

次のようになります。

 

Xは,Vを刃渡り20センチメートルのナイフで

その腹部及び胸部を突き刺しており

Vが内臓に裂傷を受けるなどして

生命への具体的危険を伴う行為をしている。

 

また,Xの行為態様は,

馬乗りになって,頭の上から振りかぶり,

ナイフを振り下ろすというものであるから,

その物理力ゆえに刃が体内の奥まで到達し

 

実際に内蔵に裂傷を与えるなどして

生命侵害の現実的危険もある

といえる。

 

したがって,

Xの行為は,Vの生命侵害を惹起する

具体的かつ現実的な危険を有する行為であるといえ

殺人の実行行為にあたる

 

 

いかがでしょうか。

前回の簡易事例の解説は,ここまでです。

  

あてはめの論理の緻密さ

このようにして鍛えることができます。

 

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何かご質問があれば,コメントをお願いします!!

 

 

 

これまでの内容を踏まえた上で

あなたがもう一歩先の段階のレベルの

答案を書く

そのための+αのテクニック

 

今回の内容でまだまだ物足りない

そんなあなただけに

次回!ご紹介します!!

 

お楽しみに!!

 

 

 

 

 

 

 

法論理とのつながりと緻密さを実現するあてはめの奥義とは??その1

 

んにちは!かわしょー吉です。

 

今回は

けっこう苦手な人が多い

あてはめのコツ

に関するお話です。

 

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あなたは

「あてはめ」について

どのようなイメージを持ってますか?

 

とりあえず,たくさん事実を拾って

何となく,それっぽくつなげてみて

書いてみたら

穏当なものができあがった!

 

 

まぁ,けっこう感覚的に

もう少しざっくりいえば

「ノリ」で書いていくぜ!!

 

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なんていう人も少なくないのではないでしょうか?

 

 

確かに,私も

あてはめには,「感覚」

 

インスピレーションがものをいう側面

があることを,否定しません。

 

事例に散りばめられた雑多の事実を

どこでどう使うかを振り分ける

 

その時間を可及的に効率化するために

まずは直感で,考えてみる

というのは大切だと思います。

 

私も,直感から入る視点を持っています。

 

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概ね,その直感は当たります。

地道に基本書や判例を読み深め,

 

一流の法律家の人たちの法的思考に

どっぷりと浸かっている

そんなあなたであれば

 

少なくとも,問題文の事実について

”ハズれた”使い方をすることはないでしょう。

 

逆に

直感がどうしても外れてしまう

そんなあなたは

 

シンプルに

基本書や判例の読解の深さ

が足りません

 

ゆえに

基本書や判例を読む際に

 

なぜを追求する勉強

をすることをおすすめします。

 

この点は,以前の私の記事でも

ふれました。↓↓

http://kawashokichi.hatenadiary.jp/entry/2018/01/25/025709

http://kawashokichi.hatenadiary.jp/entry/2018/01/25/134840

 

 

今回お教えしたい

”あてはめの奥義”

 

  • あてはめの説得力を指摘される
  • 「具体的な評価」の欠落を指摘される

 

そんなあなたに,耳寄りなものです!!

 

あなたがこれを知らなければ

上位合格者の層に食い込むことが困難

になります。

 

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逆に,これを知ることができれば

上位合格への道がはっきり見えてきます。

 

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その奥義は,いくつかの階層に分析されますが

その第1段階として

 

その事実要素から連想されることを3つ挙げる

というものです。

 

そしてその際に重要なのが

抽象的類型的→具体的個別的

という度合いを意識することです。

 

さらに,→の中身として

内容・性質・量(程度)

3つの基本的な分析ポイント

を念頭においてください。

 

 

では,,実践してみて下さい。

 

練習として

 

XがVを

ナイフ(刃渡り20センチメートル)で,

腹部と胸部をそれぞれ1回ずつ,

馬乗りになりながら,腕を頭の上から振り下ろして刺した。

 

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という行為につき

殺人罪(刑法199条)の構成要件のうち

実行行為性に絞って検討してみてください。

 

次回の冒頭に

その解説を踏まえて

あてはめの論理の緻密さ

についてお話したいと思います。